小児の感染症
1)ノロウィルスについて
  感染性胃腸炎をおこすウィルスの一種です。感染力が強く少量のウィルス(10〜100個)でも感染します
このウィルスは食品の中で増えるのではなく、人の腸の中で増えます。感染後24時間から48時間後に腹痛、嘔吐、下痢、発熱などを発症します。嘔吐は1〜2日でおさまりますが、下痢は4〜5日続くことがあります。ウィルスは便の中に1週間から10日程度排出されます。
  ウィルスに汚染された食品、感染した人の便、嘔吐物を介して感染します。嘔吐物がついた衣服などは漂白剤を50倍程度に薄めた液につけ消毒する必要があります。嘔吐物は1mの高さから吐くと2〜3m飛び散ります。広い範囲で消毒してください。

2)ロタウィルスについて
  日本では毎年11月から翌年5月にかけて胃腸炎が流行しますが、その多くはノロウィルスとロタウィルスによるものです。流行期はノロウィルスが先行し、少し遅れて年明けから徐々に増えていきます。
  患者数はノロウィルスの方が多いですが、重症化する率はロタウィルスの方がはるかに高いです。脳症のほか、麻痺性イレウス、腸重積、痙攣などの合併症があります。生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多くみられ、5歳までにほとんどの児が感染します。年長児期以降は不顕性感染が多くなりますが、生涯にわたり繰り返し感染します。成人感染のピークは20〜30歳代と50〜60歳代で、児とその世話をする成人間での伝染によるものと思われます。酸臭のある米のとぎ汁のような白色の下痢便が特徴ですが、必ずしもそうではありません。特異的な抗ウィルス薬がないため、下痢による水分と電解質のロスを経口あるいは点滴で補う治療となります。
  ロタウィルスの方がノロウィルスより数段強力な伝染力があります。便1ml中に最大10億個のウィルスが含まれ、0.01ml程度の微量でも下痢便が付着した手で生食料理をすると、1万人を感染させる可能性がある量です。消毒はノロウィルスと同様漂白剤が有効です。